「精製」とは

コーヒーの味わいは、産地や焙煎だけで決まるものではありません。

収穫されたコーヒーチェリーは、外皮や果肉、ミューシレージ(粘液質)など、いくつもの層に包まれています。これら種子の外側の部分を取り除き、焙煎前の「生豆」の状態に整えていく工程、それが「精製」です。

どのような精製を行うかによって、コーヒーの香りや甘み、味わいの輪郭など、その個性や印象は大きく変わります。
一杯のコーヒーの奥にある、精製の工程を知ることで、その味わいや個性をより感じられるようになるかもしれません。

今回はそんなコーヒーの味わいを作る大事な工程「精製」についてご紹介します。

→コーヒーチェリーについてはこちら

主な精製方法

コーヒーの精製方法は、大きく分けて「ナチュラル」「ウォッシュド」、そして両者の特徴を併せ持つ「パルプドナチュラル」「ハニープロセス」「スマトラ式」などに分類されます。

ナチュラル(Natural/自然乾燥式)

ナチュラル・乾燥工程

収穫後、コーヒーチェリーを薄く広げて天日干しにする方法で、最も古い精製方法です。主にブラジルやエチオピアなど気候が乾燥している地域で採用されています。

果皮や果肉、粘液質を残したまま、時間をかけ天日で乾燥させるため、かびや腐敗を防ぐために定期的に熊手などを使いかきまぜ、乾燥させます。

パティオと呼ばれる乾燥用の広場に広げる他、高床式の乾燥棚(アフリカンベッド)を使い、より早く安定的に乾燥させる方法もあります。乾燥後、脱穀機にかけ、果肉とパーチメントを取り除き生豆をとりだします。

アフリカンベッドを使い乾燥中のナチュラルプロセスのコーヒー

●味

乾燥の管理は難しいですが、丁寧に精製された高品質な豆であれば、品種や土壌にかかわらず、コーヒーに果実味のあるフレーバーが加えられることが多いです。濃厚な甘みやコクのある風味が楽しめます。

ウォッシュド(Washed/水洗式)

ウォッシュド・パティオでの乾燥工程

コーヒー豆を乾燥させる前に、水を使いパーチメント(内果皮)と粘液質(ミューシレージ)を全て取り除く精製方法です。主に中南米(コロンビア・グアテマラ)、アフリカ(ケニア・エチオピア)など、広く採用されています。

収穫後のチェリーを水槽に入れ、沈んだ完熟の実だけを取り出します。次にパルパーと呼ばれる機械で外皮と果肉を取り除きます。
その後、水を張った発酵槽に入れ、残っている果肉を発酵させます。発酵後、洗浄して不純物を取り除きます。その後は、ナチュラル製法と同じようにパティオや乾燥棚に広げて天日乾燥、または機械乾燥をします。乾燥後、脱穀機にかけ、パーチメントを取り除き生豆を取り出します。
乾燥時のトラブルを減らし、安定的に高品質な豆をつくれますが、ナチュラルに比べ費用がかかる精製方法です。

●味

この方法では、乾燥前に果肉を取り除き、また不純物、欠点豆も選別工程で取り除かれることから「クリーンカップ」と表現される味わいになります。これは、フレーバーを損なう苦みや渋みがないことで、豆本来の個性や産地の特徴が現れやすくなります。他の製法よりもクリアで爽やかな酸味を感じやすく、繊細さや複雑な味わいを感じられることが魅力です。

パルプド・ナチュラル(Pulped Natural)

主にブラジルで行われている精製方法で、選別後、機械でチェリーの外皮と大部分の果肉を取り除き、その後、発酵はさせずにミューシレージが付いた状態で乾燥をします。乾燥後は脱穀機にかけ、パーチメントを取り除き、生豆をとりだします。
ウォッシュドに比べて使用する水の量が少なく、乾燥工程での果肉(ミューシレージ)の有無が違いとなっています。

●味

外皮を取り除くことで、欠点豆になるリスクが低く、豆に残った果肉によりナチュラルのような甘みやコクが出ることが特徴です。

ハニープロセス(Hony Process)

ハニープロセス・乾燥工程

パルプドナチュラルと似た製法ですが、さらに水の使用量が少ない精選方法です。
パルプドナチュラルはブラジルで発祥した精製方法であるのに対し、ハニープロセスはコスタリカやエルサルバドルなど中米諸国の多くで採用されておりています。

チェリーを収穫、選別した後、除去する果肉量(特に、粘液質(ミューシレージ)の除去率)を機械により調整します。果肉は除去しますが、粘液質(ミューシレージ)がついたまま乾燥させるのが特徴です。パルプドナチュラルに比べ、ミューシレージの残量が細かく管理されています。

ミューシレージの残り具合で「イエローハニー(50%程度残し)」や、「レッドハニー(75〜85%程度残し)」などの呼称で分けられることもあり「ブラックハニー・プロセス」は、ミューシレージを100%残したまま乾燥させるプロセスです。

また「ミエルプロセス」と言われることもあり、「ミエル」はスペイン語で蜂蜜を意味し、粘液質であるミューシレージを指しています。

●味

乾燥によって加えられた熱により、ミューシレージの甘み成分がカラメル状になり、ミューシレージの甘みを内部の種子にあたるコーヒー豆に浸透させることにより甘みがつよく、また重厚感やフルーティーな味わいが感じられます。

左から:イエローハニー・レッドハニー・ブラックハニー

スマトラ式(Sumatran Method)

【果肉除去(機械)→1次乾燥(ミューシレージついたまま)→脱穀(水分含んだまま)→2次乾燥】

インドネシアのスマトラ島で行われる伝統的な精製方法。雨の多い気候に対応するため、収穫後、果肉を除去し、粘液質(ミューシレージ)が多少ついたまま半日程度乾燥させます。その後、水分を含んだまま脱穀し、パーチメントを取りのぞいて生豆にしてから2度目の乾燥を行う方法です。

通常、パーチメントは出荷直前まで脱穀せずにおきますが、早く乾かすためにこの精製方法では乾燥段階で脱穀を行います。

●味

スマトラ式のコーヒーは、他と比べ酸味が弱くコクが強くでます。フレーバーはハーブや土のような香り、スパイスなどさまざまで、個性的な風味が特徴です。

最後に・・・

「精製」は、コーヒーの味わいや個性を大きく左右する重要な要素です。また、近年はより多様で高品質な味わいを求める市場の広がりとともに、新たな手法や工夫が生まれています。そうした積み重ねが、より個性あふれるフレーバーを生み出し、コーヒーの奥深い魅力のひとつとなっています。

大和屋でも、それぞれの精製が持つ特徴を大切にし、その味わいを最大限に引き出す焙煎を心がけてまいります。ぜひ、精製にも目を向けながら、一杯のコーヒーをお楽しみください。

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deepresso編集部が「より深くコーヒーの魅力についての情報発信」を行います。コーヒー業界のトレンドや、最新のトピックも取り入れながら、大和屋が今まで培ってきたコーヒーのノウハウを活かし、一歩踏み込んだ情報をコーヒー好きの皆様にお届けします。

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