コーヒーチェリーについて
“ウォッシュド”や”ナチュラル”…最近では”ブラックハニー”や”アナエロビック”など…様々な名称がついているコーヒーを目にすることがありませんか?
これらは全て、コーヒーの精選方法を示しています。
そんな精選方法を理解する為には、まずはコーヒーの果実である”コーヒーチェリー”について知っておく必要があります。今回のdeepressoでは「コーヒーチェリー」についてご紹介します。
目次 コーヒー豆は果実の種子 コーヒーチェリーの構造 種子(コーヒー豆) シルバースキン パーチメント ミューシレージ 果肉 / 外皮
コーヒー豆は果実の種子
コーヒー豆はコーヒーノキと言われるアカネ科のコフィア属に分類される植物の果実から、取り出された種子になります。
果実の見た目がチェリーに似ていることから、「コーヒーチェリー」と呼ぶようになったそうです。
コーヒーノキは受粉後数ヶ月で緑色の実がなり、半年以上をかけて真っ赤に熟していきます。さらに熟してくると色合いも真っ赤から赤黒くなります。また、コーヒーノキの種類によっては、黄色やオレンジ色などに熟すものもあります。
コーヒーチェリーの構造
コーヒーチェリーは主に6つの構造に分かれています。
種子(コーヒー豆)
一番内側に種子があり、様々な精選工程を経てコーヒー生豆となります。
基本的には1つの果実の中に、向かい合うようにして2つの種子が入っています。正常に育つと楕円形になりその見た目から「フラットビーン(平豆)」と呼ばれています。
また、約5〜20%の割合で果実の中に1つだけ種子ができることがあります。順調に育つと丸い形になり、その見た目から「ピーベリー(丸豆)」と呼ばれます。ピーベリーはできる割合が少ないため、通常のコーヒー豆とは分け、希少なコーヒー豆として扱われることもあります。
シルバースキン
種子と果肉の間にあり、種子の表面に薄く被っている銀色の皮の事をさし、銀皮(ぎんぴ)やチャフとも言われています。精選工程である程度は取り除かれますが、コーヒー生豆表面に少しだけ残っています。
残ったシルバースキンは焙煎時に焼失するか、専用の受け皿に送り込まれるため、焙煎したコーヒー豆にはあまり残りません。
パーチメント
コーヒーの果肉とシルバースキンの間にある内果皮です。脱穀機(だっかくき)と呼ばれる機械を用いて、除去されます。
ほとんどの生産国の輸出業者はパーチメントを除去した状態のコーヒーを買い付けますが、コロンビアではパーチメントコーヒーのまま買い付けをし、輸出業者が脱殻、選別し輸出しています。
また、種蒔きの際はパーチメントが付いた状態(パーチメントコーヒー)で蒔かれることが多いそうです。
ミューシレージ
コーヒーチェリーが熟すにしたがって、パーチメントの表面を覆うように”糖分の高い”ベタベタとした粘液質が発達してきます。これをミューシレージと呼んでいます。
ハニー製法と呼ばれる精製方法では、このミューシレージを残したしたまま乾燥をおこないます。ミューシレージの甘み成分がカラメル状になり、茶色くなります。
果肉・外皮
果肉部分はほとんどなく、一番外側は外皮に覆われています。コーヒーチェリーは、食べてみるとほんのり甘酸っぱい味わいを感じます。果肉・外皮を乾燥させたものを「カスカラ」と呼び、シロップやお茶の原料として使用されることもあります。
ナチュラル製法では、外皮までつけた状態で乾燥の工程を行います。
最後に…
精選方法の違いでコーヒーの特徴は変化し、同じ産地同じ種類のコーヒーでも精選方法の違いで全く異なる味わいに仕上がります。
近年、急速的に生産国各地で新たな精選方法が開発されており、精選方法は複雑になってきています。外果皮や果肉部分を絞ったジュースに、パーチメントコーヒーを漬け込み発酵させ、独自のフレーバーを生み出す農園なども登場してきています。
deepressoでは今後、様々な精選方法についてもご紹介します。今回の記事と併せて読んでいただき、より楽しいコーヒーライフのヒントになれば幸いです。