コロンビアコーヒーセミナーコラム

今回は、2023年10月6日に群馬県庁32階セミナースペースで行われた、日本コーヒー文化学会群馬支部主催「コロンビアコーヒーを楽しむ会in前橋」セミナーレポートをご紹介します。

はじめに

日本コーヒー文化学会副会長福島様のご挨拶からはじまりました。

福島氏ー関西と関東を行き来する中で、群馬を横断する「ロマンチック街道」がお気に入りの道です。コロンビアを3回訪問したことがあり、標高が高い地域でコーヒーが栽培され美しく素晴らしい景色がよみがえります。

今日は美味しいコロンビアのコーヒーを飲み、その文化に触れて頂けると幸いです。

プロフィール
株式会社富士珈機
代表取締役 社長
福島 達男氏
(本社拠点:大阪府大阪市)
〜日本コーヒー文化学会について〜

日本コーヒー文化学会は、世界のコーヒーやその文化についてもっともっと知りたいという人々の集いを目的とする公正な団体です。

引用:日本コーヒー文化学会
https://jcs-coffee.org/

コロンビアコーヒーを楽しむ会in前橋

講師:サンティアゴ・サボカル氏
講師プロフィール
FNCコロンビアコーヒー生産者連合会
アジア・オセアニア担当
サンティアゴ・サボカル氏

皆さんこんにちは、今日はコロンビアコーヒーが「世界で一番リッチなコーヒー」と呼ばれる理由をご紹介いたします。

コロンビアのコーヒーは環境と生産者によって支えられた多様性と高いクオリティという魅力があります。

具体的には、以下のようなことが上げられます

1. 約54万世帯の生産者世帯に支えられている
2.平均農園面積が1.55ヘクタールの小規模農園であること
3.ほぼ100%コーヒーチェリーの収穫が手摘みされており、年間を通して新鮮なコーヒーが流通している
4.32県中、23県でコーヒーが栽培され、そのうち約35%が持続可能な開発プログラムの要件を満たす農園となっています

このあとお時間をいただき、これらを紹介いたします。

〜FNCコロンビアコーヒー生産者連合会について〜

1927年、コロンビアのコーヒー生産者たちの手により設立された民主的な組織です。今では56万以上のコーヒー生産者が加盟しており、世界有数の規模を誇る農業関連NGOです。高品質なコーヒーの安定した生産や、生産者のより良い暮らしを実現し、コロンビアコーヒーが『The Richest Coffee in the World®』(世界一リッチなコーヒー)として認知されるよう活動している、コーヒー生豆及びコーヒー製品の輸出団体です。

引用:FNCコロンビアコーヒー生産者連合会
https://cafedecolombia.jp/

講演1:「コロンビアコーヒー」の特徴

①農園の規模について

コーヒーの生産量世界一位を誇るブラジルですと、大規模な農園が多いですが、コロンビアは農園の96%が5ヘクタール以下の小希望農園です。そして、コロンビアコーヒーの実に74%の生産をこの小規模農園が担っています。

農園規模の話をしますと、5ヘクタール以下の小規模農園が96%、5~10ヘクタールの中規模農園が3%、10ヘクタール以上の大規模農園が1%です。因みに「小・中・大規模農園」の定義は地域で違いますので、ブラジルなどでは10ヘクタールでも小さめと言われます。

②生産量について

コロンビアの生産量は平均で年間1万4千袋(1袋あたり60kg)です。2011・2012年はサビ病の流行により収穫が少なかったのですが、セニカフェにより開発されたカスティージョのような病気に強い品種の改良や育生につとめています。

過去3年の現象は、気候変動の影響を受け、ラニーニャ現象により雨が多く、雲に覆われ成長不足で豆が育たなかったことが原因です。現在以降は逆にエルニーニョ現象の影響を受け、それにより安定的な収穫が予想されています。

③地理について

コロンビアのコーヒーが多様でユニークな理由は、まさに地理にあります。

東、中央、西の山系に分けられるアンデス山脈は、南北に沿うように形成されています。そのため、北部・中部・南部の3つのエリアでそれぞれ個性の違うコーヒーチェリーが育ちます。

④各エリアの生産量

北部:年に1回の収穫で9月~12月が収穫時期
中部:年に2回の収穫で上半期は少なく、下半期の収穫が多い
南部:年に2回の収穫で上半期に多く、下半期の収穫が少ない

地域により年に1~2回の収穫ですが、コロンビア全体ですと通年収穫ができます。

講演2:環境と味の特徴

エリアごとの特徴をいくつかの側面から説明していきます。

北部

【環境】
北部は6つの県でできており、山の斜面でたくさんの光を浴びるエリアです。日光が強いので、シェードツリーと呼ばれるコーヒーと異なる木を植えて日陰をつくってコーヒーの木を育てます。この環境は多様な動植物を育てるため、オーガニックコーヒーも盛んです。日が強く標高も低めなため、コーヒーの成長が早いエリアです。

【味】
このエリアのコーヒーは、コクが強くボディがしっかりしているのが特徴です。酸味は中~低めで、チョコやナッツ系のアロマといわれます。

【焙煎】
この豆に適した焙煎はロースト高めをオススメしています。

【飲み方】
アフターテイストを楽しめるエスプレッソやラテがオススメです。

中部

【環境】
中部は11の県でできており、最も生産量の多いエリアです。生産量が非常に多いアンティオキア県や、カルダス、リサラルダ、キンディオという県が並んでいます。北部に比べると標高の高いエリアです。

【味】
標高が少し高いため、酸味も少し強くなります。フルーティーな酸味が特徴で、ボディーも比較的しっかりしています。酸味とボディのコクもあり、後味も感じられるのでバランスのよい味と言えます。

【焙煎】
この豆には、中くらいの焙煎をオススメしています。

【飲み方】
バランスが良いので、エスプレッソからアメリカンまでいろいろな飲み方で楽しんでいただけます。

南部

【環境】
アンデス山脈が3つに分岐し始めるエリアで、標高は高く雲の多い地域です。このエリアは北に比べると日照時間が短く、太陽の力が弱いことと、昼夜の寒暖差が激しいことで、木の成長がゆっくりになります。

【味】
ゆっくり成長するため、糖が多くつくられ、繊細で複雑な味の豆になります。強く輝くような酸味、フルーティーというより柑橘系の酸味が特徴です。

【焙煎】
軽い~中くらいの焙煎をオススメしています。

【飲み方】
ドリップなどフィルターを通す飲み方がオススメです。

このように「コロンビアのコーヒー」はエリアによる味の違いを楽しむことができます。ぜひ、トレーサビリティをチェックしてエリアを知ることでよりコロンビアのコーヒーを楽しんでいただけると思います。

エメラルドマウンテン
コロンビアを代表するスペシャルティコーヒーのご紹介

①エメラルドマウンテンとは?

コロンビアのトップブランドコーヒーで、コロンビアコーヒー全体のわずか1%未満(各年の生産量によって、変動あり)のみが認定されるトップクオリティのブランド豆です。品質はもちろんのこと、サステナブルへのこだわりも持っています。

経済面のサステナブルへの取り組みとして、高品質の豆をつくる生産者にはプレミアム価格を支払うことで、生産者への持続可能性への取り組みを行っています。

②エメラルドマウンテンはナゼトップクオリティか?

栽培から収穫、輸送まで徹底した品質管理を行っています。

エメラルドマウンテンの名前は、コロンビアで採掘の多い宝石の「エメラルド」に由来します。エメラルドマウンテンはコロンビアや生産者にとって宝であり、また希少で貴重なものなのです。コーヒーの生豆は緑色で、丸みを帯びた形もエメラルドに似ているかも知れませんね。

栽培から輸出まで徹底的な品質管理を行う事で、日本のカッププロファイルを実現しています。非常にクリーンで繊細で複雑なコーヒーで、酸味・コク・甘みのバランスが大変良くとれています。このようなコーヒーはフレッシュで、毎日飲んでも飽きがこないとよくいわれます。

③エメラルドマウンテンの品質へのこだわり

エメラルドマウンテンが栽培されるのは標高1,700メートル以上の地域で、コロンビアの主に南部、一部中部のエリアになります。

このようなエリアで栽培されたコーヒーは鮮やかで柑橘系の酸味と、高濃度の甘みが感じられます。

品質を守るために、全ての生産チェーンにおいて7回品質検査が行われます(通常は2~3回程度)。選別には大変厳しいスペックがあり、エメラルドコーヒーはコロンビアコーヒーの中で一番厳しいスペックをクリアしなければなりません。

例えば、豆がスクリーン18以上の「プレミアム」と呼ばれる大きな豆、欠点豆もゼロに近い状態の品質基準にします。そのためには機械だけでは無く、手作業での選別も必要になります。

④サステナビリティについて

今までは品質のみを追求してきたのですが、数年前にブランド基準を見直し、現在は「サステナブル」という観点も重視されています。

サステナビリティに関して、過去長年にわたり農家の経済的な支援をしてきましたが、去年からは環境や社会に関するプロジェクトも始まっています。

今までは大和屋さんのようにエメラルドマウンテンの取扱店舗の力添えをいただき、プロジェクトを行ってきましたが、今後は消費者の方にも参加していただき産地をより身近に感じてもらえたら嬉しいです。

ムーチョグラシアス、ありがとうございます!

コーヒーブレイク
コロンビアコーヒーとコロンビアの伝統菓子を楽しむ

講演後には先ほどご紹介があった北部、中部、南部、エメラルドマウンテン、4種のコーヒーを飲み比べ。

コロンビアの伝統菓子「ブニュエロス」とともに試食を行いました。

ブニュエロスは、チーズ生地の揚げドーナツのようなもので、チーズの風味と程よい甘味と塩味が絶妙で、くせになる味わいです。材料が揃えば、ご家庭でも作れますのでご興味ある方はぜひチャレンジしてみてください。

参加者の皆さんが、それぞれのコーヒーの違いを楽しみ、またコロンビアの文化にふれながら笑顔になっていただき、セミナー開催に携わった一同大変嬉しく感じました。

最後にみんなで記念撮影。

ご参加いただいたみなさま、ご関係者のみなさま、ありがとうございました。
コロンビアコーヒーについて、知るきっかけになり、興味を持っていただけると嬉しいです。

主催:日本コーヒー文化学会群馬支部 
協力:MCアグリアライアンス
共催:株式会社大和屋・株式会社シーアンドシー

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deepresso編集部が「より深くコーヒーの魅力についての情報発信」を行います。コーヒー業界のトレンドや、最新のトピックも取り入れながら、大和屋が今まで培ってきたコーヒーのノウハウを活かし、一歩踏み込んだ情報をコーヒー好きの皆様にお届けします。

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