珈琲ビールができるまで
「IT’S MY FIRST (はじめての…)コーヒー体験を」
コーヒーとビールを愛する大和屋社長の遊び心を真剣に商品化したクラフトビール“珈琲ビール”が今季も発売となりました。
群馬県川場村、武尊山の麓に広がる自然豊かな環境にある「田園プラザ川場」さんとのコラボ商品です。 今回は川場田園プラザ内にあるビール工房にお邪魔しました。珈琲ビールができるまでの様子をご紹介します。
珈琲ビールができるまで
1.麦芽の粉砕
まずはビールの原料となる麦芽(大麦を発芽させたもの)を粉砕機にかけ砕きます。1種類のみの麦芽を原料とするビールもありますが、珈琲ビールには4種類の麦芽をブレンドしています。
麦芽の種類によって、粉砕する細かさを変えているそうです。
2つの麦芽
珈琲ビールに使っている、代表的な麦芽を2種類見せていただきました。ビールに使う麦芽は焙煎して使用するため、焙煎度合いにより色合いが異なります。麦芽を試食させていただきましたが、薄い色の麦芽はポン菓子のような香ばしい味わい。濃い色の麦芽は香ばしさもありつつもしっかりとした苦味を感じました。
2.糖化液を作る
糖化釜(とうかがま)と言われる専用の窯に麦芽とお湯を投入して、麦芽の糖化力(でんぷんを糖に変える力)で、麦の中に含まれているデンプン質を糖に変え、「糖化液」を作ります。
3.麦汁を作る
先ほど作った、糖化液を濾過釜(ろかがま)にうつし、糖化液に含まれている麦芽のカスを濾過して麦芽の美味しいエキス「麦汁(ばくじゅう)」を取り出します。
1番最初に取り出された麦汁が1番絞りと言われています。
循環させて濾過を行うのですが、麦芽のカスがフィルター代わりとなるそうです。濾過は大体1時間ほどかかります。
ビールの原料となる麦芽の絞りカスは近所の牧場に持っていかれ牛の餌となり、その牛からできた牛乳は川場村で作られているチーズの原料にもなっているそうです。
出来立ての麦汁をいただきました!香ばしさと甘みがありなんだか美味しい…。この段階で糖度は17度くらいあるそうで、色々な工程を経て最終的には10〜12度に調整されるとのことです。 いちごの糖度がおよそ8〜15度と言われているので一番搾りの麦芽は甘いのがわかります!
4.煮沸・ホップの投入
麦汁を煮沸釜(しゃふつがま)に移し、麦汁にビールの苦味と香りをつけるホップを加え、煮沸します。珈琲ビールはコーヒーの苦味を活かすために、通常よりもホップの量は抑えているそうです。
ホップはとても苦く、ふきのとうや薬草っぽい苦味を感じます。
5.ワールプール
ワールプールとは、煮沸が終わった麦汁の不要物を取り除く工程のことを指します。
煮沸が終わった麦汁をワールプールタンクに移し、タンパク質やホップカスを沈澱させることで、取り除いていきます。
6.冷却機
加熱し無菌となった麦汁を熱交換機で冷却し、発酵に適した温度にします。
7.発酵
麦汁に酵母を加え、麦汁に含まれる糖分を「アルコール」と「炭酸ガス」へと発酵させます。
発酵が終わったらだんだん温度を下げて、最終的にアルコールが5%になるように調整します。
1週間くらいで1次発酵が終わり、1ヶ月くらいかけ2次発酵を行い、発酵が終わったら-0.5℃まで落とし、発酵を止めます。
発酵について
ビールの発酵は主に「上面発酵(じょうめんはっこう)」「下面発酵(げめんはっこう)」2つの発酵に分けられます。上面発酵で作られたビールは「エールビール」、下面発酵で作られたビールは「ラガービール」と言われます。
“珈琲ビール”は上面発酵酵母で作られた「エールビール(エールタイプ)」です。
上面発酵酵母とは…
発酵時に酵母が上の方に浮いてくることから名付けられた酵母のことです。
常温に近い15~25℃前後と、発酵が始まる温度が高く、発酵が早く進むのも特徴です。発酵期間は、下面発酵酵母(※)の約半数である3〜5日程度で、上面発酵酵母で作られた上面発酵ビールは、芳醇で味・香りともに豊かな飲み口となります。
(※)下面発酵酵母…上面発酵酵母とは逆に発酵が進むにつれ、タンクの下の方に沈澱していく酵母のこと
珈琲ビールに使用されている酵母
ビールに使う酵母はパウダー状のものが使われていることも多いですが、この珈琲ビールには生酵母を使用。珈琲ビールの美味しさの秘訣の一つです!
8.コーヒーの漬け込み・貯酒
コーヒーは、発酵と貯酒(貯酒タンク内でビールを熟成させること)の間くらいに投入されます。粗挽きにしたコーヒー豆を水出しコーヒーみたいな感じで、アルコール発酵させた麦汁に約1ヶ月漬け込み、香りをつけるそうです。(詳しくは企業秘密とのことでした!)
完成したビールは、貯酒タンク内で熟成させます。
ビール完成!!
こうして、丁寧に手間暇かけ作られたビールは、専用の機械を使い瓶詰めされた後、熱処理をされて、各店に出荷となります。
使っているコーヒーのこだわり
珈琲ビールには、コロンビア産コーヒーを100%使用しています。
ポイント① 味わい
酸味・コクが強く“コーヒー感”がしっかりと表現される、コロンビアのコーヒーを厳選しました。コーヒーの香りがしっかりと残りつつも、ビールの味わいを邪魔せず味わいに深みが加わります。
ポイント② コーヒー豆のグレード
コーヒーの香りを移す際に、ビールに漬け込むためコーヒー豆の硬さも重要となります。 コーヒーが栽培される標高が高ければ高いほど、昼夜の寒暖差も激しくなり、コーヒー豆が締まり硬くなります。また、味わいも凝縮され、しっかりとしたコーヒー感が感じられます。
コロンビアの中でも標高が高い1,800〜2,000mで栽培された最高グレードのコーヒー豆を使用しました。
ビール職人
星野さんにインタビュー
今回取材にご協力いただいた、ビール醸造歴7年「田園プラザ川場 星野さん」にビール作りについてのこだわりやなどをお伺いしました。
Q1ビールを作るときの思いや、珈琲ビールを作る際のこだわりを教えてください。
星野さん―素材の良さを活かすことがこだわりです。いつも真っ白な気持ちで、ビール作りをしています。今回は珈琲好きな気持ちをこの珈琲ビールで表現してみました。
Q2星野さんは、ビールに負けないくらいコーヒーが好きと伺いました。ビール作りのプロで尚且つコーヒー好きの星野さん的に「珈琲×ビール」の組み合わせや味わいは、いかがでしょうか?
星野さんー川場村の水は軟水で口当たりがよいので、珈琲にも適した水です。その水の特徴を活かしたビールにしました。個人的にこの珈琲ビールは、休みの日の午後2時過ぎに飲みたいビールです。大和屋さんで販売している「カフェチョコ」と合わせて、珈琲感に浸りたいです。
Q3最後に、この珈琲ビールどんなかたに飲んでもらいたいですか?
星野さんー珈琲が好きな方に飲んでいただきたいです。
星野さん、貴重なお時間をありがとうございました!!
最後に…
ビール作りは、原料となる麦芽を焙煎して、挽いて、水を加え成分を抽出したら、濾過…発酵という工程が加わりますが、コーヒーとの共通点も多く感じました。
これからますますビールが美味しくなる季節。IT’S MY FIRST…はじめてのコーヒー体験をお楽しみください!
川場田園プラザ
商品概要
商品名:コーヒービール
大和屋 高崎本店 販売価格:495円(税込)
内容量:330ml