工場長のコーヒー探求記 vol.1

2025年春、高橋靖彦工場長がコスタリカグアテマラへ!

2025年春、大和屋のコーヒー焙煎を担うグループ会社「株式会社シーアンドシー」の工場長・高橋靖彦が、グアテマラとコスタリカを訪問しました。今回の旅では、現地の農園を視察し、200カップ以上のコーヒーをカッピング。

大和屋で取り扱うコーヒーを探しながら巡った現地の様子を2回の記事に分け、お届けします。

profile:高橋靖彦(たかはし やすひこ)
大和屋の焙煎を担う熟練の焙煎士
保有資格:CQI認定Qグレーダー・SCAJ認定コーヒーマイスター

Visit #01 コスタリカ

まず1ヶ国めに訪れたのは、中央アメリカ南部に位置するコスタリカ共和国。
日本から飛行機を乗り継ぎ14〜15時間ほどかけて到着しました。
コーヒー栽培に適した火山性土壌と、標高の高さが育むコーヒーの産地を視察します。

DAY 1:農園視察

LOS MONGE農園

首都サンホセから4時間かけて山を越え「LOS MONGE農園」に到着。家族とピッカー(収穫者)を合わせても6人位で管理している農園で、訪れたのは、収穫が終わった直後でした。

この農園では急勾配の斜面で手摘み収穫が行われています。木に残るチェリーは赤く完熟し、高品質なコーヒーが期待できます。

個人的に印象深かったのは、生産者から聞いた気候変動の話です。異常気象により、年間の10%に相当する雨量が1日で降ることもあり、開花時期が読めなかったり、雨で実が割れるなどの影響が出ているとのことでした。幸いなことに、まだ品質に影響は出ていないそうですが、気候変動による急な収穫への対応など、農園の方々は苦慮されていました。また、ピッカー不足も深刻で、コーヒー産業の持続可能性について考える大切な機会になりました。

農園に向かう道中
木にはまだコーヒーチェリーが少し残っていました
収穫後のコーヒーチェリー、実が割れているものもあります

マレスピ農協(マイクロミル)見学

Marispi農協入り口

その後、Marispi(マレスピ)という農協を訪れ、精製から納品までの工程を視察しました。そこでは「アナエロビック(嫌気性発酵)」のプロセスを見ることができました。

発酵タンク
発酵中の豆も見せていただきました

アナエロビックとは、酸素を抜いた状態で発酵を行い、特定の酵母やバクテリアの働きを活発にさせる精製方法です※詳しくはコチラ

この発酵過程を実際に見るのは初めてでしたが、ガスが抜ける様子や自然環境下で工夫を凝らした温度管理など、手間をかけて味を調整するプロセスを確認することができました。

この手間がかかるプロセスを経ても、仕上がりが特出しなければ、必ずしも価格があがるというわけではありません。農園においては、挑戦となるものだと思いますが、コーヒーの品質や向上を目指した取組に創意工夫する現地の姿は、最後にお客様にお届けする立場として良い刺激をもらえました。

Marispi農協の様子
アナエロビック以外の精製もされています
乾燥中のコーヒーチェリー

DAY 2:カッピング

この日は44カップのコーヒーをカッピング。旅を共にした他企業の方々と意見交換しながら、それぞれのコーヒーの印象を話し合いました。精製後、日が浅いものも多く、少し若々しい味わいもありましたが、全体的に品質の良さを感じました。

DAY 3:130カップのカッピング漬け

Exclusive Coffee社

翌日は、サンホセにある「Exclusive Coffee社」で本格的なカッピングを実施。約130カップを試飲しました。すべて良質な豆でしたが、その中でも「これぞ!」と感じる、際立ったキャラクターを持つものはわずか5〜6カップ。コーヒーの奥深さを改めて実感する機会となりました。

カッピングの様子

また、特別なコーヒーは現地でも高額になるため、価格と品質のバランスを考慮しながら、それぞれの豆の味を探求していきます。

皆さんに提供する際は、美味しさはもちろん、日常的に親しめるコーヒーとして、価格のバリエーションも楽しんでほしい。そんな思いから、ジャスミンのようなフレーバーやシトラス感のある豆など、手に取りやすい価格帯でも個性が際立つものをピックアップしました。

五感をフルに使い、丸一日カッピング。日頃からコーヒーに携わる私ですが、130カップの試飲はそう多くない経験です。心地よい疲労感とともに、コーヒーの奥深い魅力を存分に味わえた一日となりました。

コスタリカの旅を終えて

2つの国を巡るコーヒー探しの旅。まだ1国目にして、その体験の濃さに改めてコーヒーの奥深さを感じます。毎日、コーヒーに携わっていても、目で見る収穫に感動し、産地の様子や今後の課題を肌で感じる貴重な体験となりました。

大和屋をごひいきにしてくださっているお客様に美味しい珈琲をお届けできるよう、味覚や五感をフル動員!

2ヶ国目のご報告でも、そこで得た貴重な体験や、コーヒー産地の魅力をお伝えできればと思います。

探求の旅の中で出会った、“グアテマラ エスペランサ農園 パカマラ”販売中!

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deepresso編集部が「より深くコーヒーの魅力についての情報発信」を行います。コーヒー業界のトレンドや、最新のトピックも取り入れながら、大和屋が今まで培ってきたコーヒーのノウハウを活かし、一歩踏み込んだ情報をコーヒー好きの皆様にお届けします。

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