珈琲にかける想い
大和屋珈琲前橋六供店 店長 堀 巧磨
「 V60 Brewers Cup 2025」に出場しました!
2025年9月24日、HARIO株式会社が主催するコーヒーハンドドリップの競技会
「V60 Brewers Cup 2025」に、前橋六供店 店長の堀(以下:堀店長)が出場しました。
本記事では、出場に至るまでの背景や当日の挑戦の様子を通して、堀店長が珈琲と向き合う「想い」をご紹介します。
V60 Brewers Cup 2025とは?

世界的なコーヒー器具メーカー・HARIOの代表作である「V60ドリッパー」の誕生20周年を記念して開催された、世界規模の大会です。
日本スペシャルティコーヒー協会が主催する展示会「SCAJ2025」の会場内で行われ、
日本大会には25名の競技者が参加。さらに、日本大会で勝ち抜いた1名が 世界大会へ進出する形式となっています。
競技では、HARIOのV60を使用し、抽出技術・発想・表現力などが総合的に審査されます。ハンドドリップという“手仕事”そのものを競技化することで、バリスタの技能向上や抽出技術の新しい可能性を広げていく場でもあると感じます。
出場のきっかけ・想い

きっかけは、堀店長がHARIOのInstagramで大会を知ったことです。
当時、前橋六供店のオープンから1年が経ったころで「店長として店舗をさらに盛り上げ、大和屋を知っていただくきっかけになれば」という想いから、出場が決まりました。
堀店長は「コーヒーにはさまざまな楽しみ方があり、そこに順位や優劣はない」と考え、今もその想いは変わりません。しかし、お客様においしい一杯を届けたいという気持ちで日々工夫を重ねてきた抽出や技術が、客観的に見ても正しい方向に向かっているのか、一度確かめてみたい気持ちもあり「 改善できる部分があれば知り、さらに磨いていきたい」という想いも大会への挑戦を後押ししました。
大会出場に向けて

大会応募のエントリーシートには、自分の人生を変えた珈琲との出会いや想い、そして今「提供する側」として大切にしている気持ちを書きました。
日本大会への出場が決まってからの約2カ月間は、限られた時間の中でより良い一杯を追い続ける準備期間となりました。
大会では、事前に使う豆の種類が分からず、当日に一度だけ試しに淹れられる程度の時間しかありません。そのため、本番で安定して再現できる「レシピづくり」と抽出の精度がとても大切になります。
そこでまず取り組んだのが、焙煎部門であるC&Cへの相談でした。C&Cは大和屋の中でも焙煎に特化したプロフェッショナル集団で、年間を通じて数百種類以上の豆を扱い、産地や特性を深く理解しています。
大会を想定して各エリアの豆を焙煎してもらい、その特徴や焙煎の意図を直接聞きながら、豆ごとに最適なレシピを組み立てていきました。
豆の個性を最大限に引き出すためには、焙煎だけでなく、抽出もその意図に寄り添う必要があります。
粉量や挽き目、お湯の温度や抽出時間、器具の選び方など、細かな条件を調整しながら試作と練習を繰り返しました。
さらに、数値だけでは表せない「豆の声を聴く」ような感覚的な部分も大切にしながら、何度も何度もカップを重ねていきました。
■大和屋 堀のレシピの工夫

堀店長は、大会で出る可能性の高い浅煎りの豆を想定しながら、深煎りを基軸とする大和屋らしさをどう出すかを考えました。
練習で積極的に使ったエチオピア・ナチュラルは、ベリーのような酸味とフローラルな香りが特徴です。トレンドのすっきり淹れる、いわゆるティーライクな味わいも豆の個性を生かす方法ですが、堀店長は「ベースの味がしっかりした大和屋らしさ」を加えて、美味しい珈琲に仕上げることを目指しました。
具体的なレシピを一部ご紹介
・豆の個性を生かしつつ、大和屋らしくベースの味もしっかり出し、余韻も楽しめる味
・浅煎りで出やすい雑味や渋みを避けつつも、ベースの味も出る挽き目に調整
・酸味を損なわないよう、透過速度が通常の3倍のフィルター「METEOR(メテオ)」を使用
・当日どの豆が来ても対応できるよう、抽出時間の調整がしやすい浸漬式ドリッパー「スイッチ」を使用
大会当日


緊張の中で迎えた大会当日。
競技は1グループ5名で5回行い、調整時間と練習時間が各10分、競技時間は6分です。支給された豆を使い、制限時間内に250ml以上の珈琲をカップにサーブします。
審査員3名がブラインドテイスティングを行い、各審査員が1~3位を選び、合計点でグループ1位が決定します。グループで1位を獲得した5名で日本大会の決勝が行われます。
当日の豆は、予想していた浅煎りの豆で、ベリーやフローラルの香りが印象的なものでした。堀は事前のコンセプト通り、浅煎りでは表現しにくい「大和屋らしさ」を出す抽出方法で臨みました。
審査の結果、堀の淹れた珈琲は3名の審査員から1位、2位、3位の評価を受け、惜しくもグループ内で一票差の2位となりました。
堀店長の学びとこれからの想い

「とても美味しい珈琲を淹れられた、という確信が生まれました」。
これまでも「美味しい珈琲を提供している」という自信を持ちながら提供していましたが、専門家の目で評価される競技を通して、提供してきた珈琲や自分のドリップが間違っていなかったことを確信できました。
味や自分の取り組みに対する答え合わせができたことで、さらに研鑽していきたいという気持ちも増しました。
また、大会をきっかけに、C&Cや大和屋スタッフの珈琲への情熱や知識に触れることで、まだまだ、お客様に提供できる珈琲の可能性があることを大きく実感しました。
産地や豆の仕入れへのこだわり、豆の特性を生かす焙煎、そして美味しさを最大限引き出す抽出。この一連の工程を通して、これからさらに多くの方に珈琲の魅力を知ってもらえたらと思っています。
大和屋珈琲では、皆さまに選んでいただく珈琲にあわせ、最適な淹れ方で一杯一杯、丁寧にご提供しています。ぜひ、私やスタッフが心を込めて淹れるハンドドリップ珈琲を味わいにいらしてください。
10/25(土)26(日) 1周年記念珈琲祭

大和屋珈琲 前橋六供店は、10月26日をもって1周年を迎えます。
1周年を記念した特別企画いたします。
日頃のご愛顧に感謝を込めて、堀店長による無料ふるまい珈琲イベントを開催します!
「HARIO V60 Brewers Cup」に出場した際に実際にステージで使用した特別な器具とレシピです。
大会の緊張感の中で磨き上げられた、技術の粋とコーヒーへの熱意が詰まった一杯。
普段は味わえない、プロのバリスタの「勝負の味」をぜひこの機会にご体験ください!



