平湯聡のインドネシア滞在記 vol.1

パンタンムサラ農園オーナー:ディレンさんインタビュー

今回インドネシアで初開催された「Cup Of Excellence:カップ・オブ・エクセレンス(以下:COE)」で1位を獲得したコーヒー「INDONESIA RANK #1」(インドネシア ナンバーワン)を販売するにあたり、大和屋社長 平湯聡(ひらゆ さとし)は現地に赴きました。”平湯聡のインドネシア滞在記 vol.1″はパンサンムサラ農園オーナーのディレン・アリ・ゴゴ氏(以下:ディレンさん)とのインタビューをお届けします。

パンタンムサラ農園にて(左:平湯 聡 右:ディレンさん)

Q1 ディレンさんにとって、「コーヒー」とは?

―私はコーヒーだけで生計を立てています。自分の畑は2ヘクタールで、コーヒー以外の農作物は育てていません。

私にとってコーヒーは生活のすべてです。

Q2 普段コーヒーは飲みますか?

―自分で育てたコーヒーを毎日飲んでいます。コーヒー生豆の状態にしたものを町のコーヒー屋に持ち込んで焙煎してもらっています。

Q3 どういう飲み方していますか?

―砂糖もミルクも入れないで、ブラックで飲みます。

Q4 コーヒーの栽培を始めて、どれくらいですか?

―今年で6年目になります。

もともと生まれ故郷は、パレンバン(スマトラ島南部)です。2016年にここに引っ越してきました。もともと農業に興味があって、特にコーヒーを栽培したいと思っていました。パレンバンはコーヒー産地ではあるけれど、ロブスタ種がメイン。一生懸命作っても、安い金額にしかならないです。

移住するきっかけは火山の噴火でした。火山が噴火したことにより住むことができなくなってしまい、良いコーヒーが作れる(=良い価格で売れる)アチェの地に移住を決めました。アチェの地には縁もなかったですが、今は他の生産者の人たちと協力しながら生活しています。

Q5 いままでコーヒーを栽培してきて良かったことはありますか?

―良いものを作れば、良いものとして評価してくれて、高い価格で買ってくれる。

良い仕事をすれば、それだけ報われるところです。

Q6 逆に、大変なこと、苦労はありますか?

―農業なので、天候に左右されてしまうことです。それでも、嫌になったことはありません。

Q7 コーヒーの栽培で気を付けていることはありますか?

―どうすれば生産性が上がるか。常に考えています。

Q8 コーヒーを作るときの、ポリシーはありますか?

―常に学び続けるよう心がけています。

ここに来るまで、コーヒーについて知らないことばかりでした。農協や同業者に色々と教えてもらいながら、日々勉強しています。

出典:CUP OF EXCELLENCE インドネシア2021

Q9 COEというものを以前から知っていましたか?

―いいえ、知りませんでした。

このような品評会があるということを、今回始めて知りました。

Q10 今回、COEに出品したきっかけはなんですか?

―所属している農協が紹介してくれました。「インドネシア・スペシャルティコーヒー協会」が全国の農協にアナウンスをして、賛同した農協の中から出品されました。私の所属している農協から、4品出品され、3品が入賞しました。とても光栄なことです!

Q11 出品したコーヒーだけのこだわりや、他と違うところはありますか?

―特に特別なことはしていません。基本に忠実にやっているだけです。収穫のときには赤い完熟のコーヒーチェリーだけを摘んでいます。あとは、なるべくオーガニックに近い状態でコーヒーを栽培しています。化学肥料は使わず、コーヒーかすを使った肥料を使ったり、除草剤は使わずに、草むしりは手作業でしています。

Q12 COEで1位を獲得した時のどのように思いましたか?

―自分のコーヒーが入賞することなんて考えもしなかったですので、とても驚きました!とても名誉なことです!!

Q13 1位を獲得して、なにか変わったことはありますか?家族の反応は?

―インスタグラムやSNSを見ると、自分の写真だったり名前の露出が増えました。とても誇らしく思います。

妻も、とても喜んでいました。

Q14 ちなみに…今回のコーヒー豆の売上の使いみちは?

―今回手に入れたお金で、家を新しくしたいです!残りは、土地を買って農地を大きくしたいです。

Q15 次回もCOEに出品されますか?

―はい。私が所属している農協から、自分のものも含め8ロットが出品する予定です。

Q16 今後、コーヒーを作っていくにあたり、目標はありますか?

―そうですね…。大きな目標は特にないですが、おいしいコーヒーを作っていきたい。ただそれだけです。良いものを、地道に着実にこれからも作っていければ、と思っています。

Q17 このコーヒーを通して、消費者の方に伝えたいメッセージはありますか

-インドネシアから遠く離れた日本で、私のコーヒーが飲まれることは光栄なことです。私が丹精込めて作ったコーヒーを楽しんでください。

最初のうちは口数が少なかったディレンさんですが、徐々にうちとけてくれて、笑顔で答えてくれました。ディレンさんの奥さん(ファティマさん)と1歳になる娘さんも紹介いただき、ぐずってしまった娘さんを抱っこしてあやしているディレンさんの笑顔が印象的でした。今回のインタビューを通じて、ディレンさんの純朴さと温かい人柄を感じることができました。

お話しの後は…私たちが焙煎コーヒーを、一度飲んでもらいたく、日本から持ってきた「INDONESIA RANK #1」を、ディレンさんにも飲んでいただきました。

日本ではおなじみの「カリタ・ウェーブドリッパー」は、インドネシアでは珍しいそうで、興味津々で淹れ方をじっくり見つめていました。

できあがったコーヒーを、ディレンさんと「かんぱい!」

ディレンさんは、「あぁ、とてもおいしい。いつも飲んでいる自分のコーヒーより、おいしいね(笑)。きれいな味わいで、甘さも感じる。日本の皆さんにすばらしいコーヒーを提供することができて、とても光栄です!」と話してくれました。

今回のCOEオークションで獲得した賞金で、新しくマイホームを建てるそうです。そういった話を聞くと、私たちがオークションに参加することで直接生産者に還元することができて、良かったなと率直に感じました。コーヒー事業に従事するものとして、生産者の方々の思いや、コーヒーがどのように作られているか。これからも皆さまに発信していきたいと思います。

最後に、リバンガヨ農協の皆さんと一緒に記念撮影。皆さまと出会えたこと、そして温かく迎えて頂いたことに感謝します!

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