INDONESIA RANK #1

アジア圏で初めて開催されたインドネシアでのスペシャルティコーヒーの国際品評会「Cup Of Excellence:カップ・オブ・エクセレンス(以下:COE)」で見事1位を獲得したPantan Musara(パンタンムサラ農園)のコーヒーを、皆さまにお届けできる日をとうとう迎えました。

その名も「INDONESIA RANK #1」(インドネシア ナンバーワン)

オークションで大和屋が単独落札した、大和屋でしか味わうことのできない、大変希少な珈琲です。

口に含むとクリーンで豊かな味わいが満ちていき、上品な余韻が長く長く続きます。「INDONESIA RANK #1」を一言で表現すると、まさに【美しい珈琲】と言えます。

心に残る、最高の珈琲時間をお楽しみください。

Cup Of Excellence

COEはコーヒー生産国で行われる、国内No.1の“最高のコーヒー”を決める権威ある国際品評会です。

1999年にコーヒー大国ブラジルで初めて開催され、今では南米コロンビアやペルー、またグアテマラ・コスタリカなどの中米諸国、そしてエチオピア、ルワンダなどのアフリカの生産国でも開催されています。2021年にはアジア圏初となるインドネシアでも開催され、ますます注目を集めています。

COEに参加できるのは国内審査を勝ち抜いた農園のコーヒーのみです。国際審査員により厳正な審査が行われ、酸味、甘味、コクなど…コーヒーの味わいの各項目を点数化しています。高スコア(87点以上)を獲得した上位30位までが受賞ロットとなり、点数に基づき順位が決められます。

そして受賞ロットは、国際オークションにかけられ、世界中のバイヤーにより高値で取引されます。落札金額のほとんどは、生産者に直接還元される仕組みになっています。

農園の規模や経済状況に関係なく、全ての生産者に平等な評価制度であるCOEは、高品質なコーヒーの生産や、労働へのモチベーションのアップ、さらには労働環境の改善など…コーヒーの品質向上とともに、生産国の発展にもつながっています。

今回インドネシアで初開催されたCOEに参加するために、集まったコーヒーは146サンプル。プレセレクションを経て79サンプルが国内最終審査Round1へ、その後上位40ロットが国際審査へと進みました。

そしてCOE受賞ロットとして最後に87点以上を獲得したのは26ロット。その中の頂点、1位を獲得したコーヒーがDilen Ali Gogo(ディレン・アリ・ゴゴ)氏が手掛けたPantan Musara(パンタン ムサラ)農園のコーヒーです。

インドネシア

1万3千以上の島を持つインドネシアは、マンデリンやトラジャなどの銘柄が有名で、高品質で美味しいコーヒーが多くある生産国です。島ごとにコーヒーの味わいや特性も異なる特徴をもちます。

インドネシアのコーヒーは、大和屋が創業当時から行っている「木炭焙煎」とも大変相性がよく、特別な思い入れがある生産国の一つです。大和屋が誕生して40年。当時から受け継がれた思いは今も続き、創業40周年記念のコーヒーとして、特別なマンデリンを選び、「感謝の思いを伝える一杯」としてご提供しました。

長きにわたり供給いただいている生産者の皆様と、お客様への感謝の気持ち。そしてこれからのインドネシアのコーヒーへの期待を込めて、今回初めてインドネシアで開催されたCOEのオークションに参加し、なんと、1位のロットを落札することができました。

Pantan Musara Dilen Ali Gogo

たわわに実るコーヒーチェリー

インドネシアで初めて開催されたCOEで1位を獲得した、Pantan Musara(パンタン ムサラ)農園は、スマトラ島北端のアチェ州に位置します。標高1,650mの寒冷な気候の中で、1.5ヘクタール程の面積を所有し、個人で農園を営んでいます。

農園主:Dilen Ali Gogo氏

農園主のDilen Ali Gogo(ディレン・アリ・ゴゴ)氏は、若くして農業に興味を持ち、コーヒーに従事しようと決めました。生まれ故郷であるスマトラ島南部のパレンバンはコーヒーの生産地ではあるもののロブスタ種がメインに栽培されているため、どんなに一生懸命作っても安価な価格でしか売買されません。火山の噴火をきっかけに、高品質なコーヒーが生産されているアチェの地に可能性を見出し、単身移住を決めました。

自身で農地を買い取り、コーヒー栽培を始め、コーヒー業界へのアクセスを広げるためにRIBANG GAYO MUSARA協同組合の一員となります。

コーヒーに関するあらゆることを協同組合に教えてもらい、コーヒー生産者として一人立ちすることができました。そして、今回参加したCOEについても協同組合がアナウンスしてくれたのだそうです。

コーヒーチェリーを収穫する際は、赤い完熟のコーヒーチェリーのみ手で摘み取り、その後精製しています。今回のコーヒーはハニープロセスで精製されており、「自分のコーヒーは、このプロセスと一番相性がいい」とディレン氏は教えてくれました。

ドライミルの選別所にて

インドネシアでは、精製されたコーヒー生豆は専用の工場(ドライミル)に集荷され、仕分けも一つ一つ手作業により行われます。

こうして丁寧に育てられ、手間ひまかけてつくられたコーヒーが日本へと輸出されます。

ディレン氏はここアチェの地で「最良のコーヒーを作ろう。最高の生産者になろう。」と、日々品質向上に努め、コーヒーの栽培を初めて今年で6年。28歳の若き生産者が今回栄冠に輝きました。

焙煎物語

今回「INDONESIA RANK #1」の焙煎に使用したのは、アメリカで製造された半熱風型の焙煎機「DIEDRICH」。

今回の焙煎について、大和屋を代表する熟練の焙煎士である“高橋焙煎士”にお話を聞きました。

焙煎士 高橋靖彦

インドネシアからコーヒー生豆が手元に届き、このコーヒーをどのように表現(焙煎)したら多くの人に、生産者の努力の結晶を、国際審査員達が評価した思いを伝えることができるのか。そして、どんな魅力(ポテンシャル)を持っているのか。と 想像しながら、サンプルロースターに火をいれました。

焙煎する際はまず初めに、精製方法と生豆の状態を確認します。そして今までの経験と、経験から得た感覚を頼りに「時間、熱量、吸排気」の組み立てを行い仕上げます。

カッピングをしてコーヒーの味わい、個性を見極め、そこにあるもの、足らないもの…必要なもの、不必要なものを明確にして、改めてこのコーヒーに最適な焙煎プロファイルを思案します。

このINDONESIA RANK #1の魅力を最大限に引き出すためにはどうすることが最善なのか…熱源(焙煎機)の選定から見直しました。

焙煎機:DIEDRICH

今回は、柔らかく甘みを伴った華やかなコーヒーを表現するため、それを得意とする熱風/半熱風型の熱源を選択することにしました。最終的に選んだのは半熱風型の焙煎機「DIEDRICH」。ドラム(シリンダー)の回転が緩やかで、柔らかく熱を入れる事が出来るのが特徴的な焙煎機です。

焙煎機の決定後、サンプルロースターで組み立てた焙煎プロファイルを落とし込み、カッピングを繰り返し、修正/微修正を加えます。

「焙煎機への投入の際に生じる生豆へのダメージ(焦げ付きやすくなる)を極力避けるために、投入してからボトム(中点)までの温度/熱量、中点からカラーチェンジ(メイラード反応)までの温度/時間、そこからの熱量「一ハゼまでの温度」「仕上げまでの温度/時間/熱量」と初めから仕上がりまで全てにこだわり、自信を持ってお届けします。

いつも私たちが手塩にかけ焙煎している“大和屋の炭火焙煎珈琲”も魅力的ですが、世界の審査員達が認めたこの「INDONESIA RANK#1」を今までの経験を活かし、余すところなく新しい形で表現しました。ぜひこのコーヒーの持つ「柔らかな甘み、爽やかな酸味、そしていくつものフルーツを連想させるような風味を体験し新しいコーヒーの魅力を発見してみてください。

美しい珈琲

“美しい珈琲” この珈琲を表現するのに最も適した言葉です。コーヒーが湯に触れた瞬間に広がる香りに魅了され、口に含むと充実した味わいが満ちていき、余韻が長く長く続きます。

青リンゴのような明るく爽やかで甘酸っぱい果実のようなフレーバー、よどみなく澄んだきれいな味わい、甘さの層が複雑に絡み合います。心地よい上品な余韻が長く長く続きます。1位を獲得したに相応しい、“美しい”味わいのコーヒーです。

海を超えて、インドネシアへ

「INDONESIA RANK #1」を販売するにあたり、生産者の思いを皆様にお届けするために大和屋社長 平湯聡は現地に赴きました。

パンタンムサラ農園まではメダンという町から車で11時間。長い道のりではありましたが、農園の皆様が温かく迎えてくれました。

Pantan Musara農園のスタッフと

農園を案内してもらうと、まず地面がふかふかなことに驚きました。化学肥料は使わず、コーヒーチェリーの皮の部分を使った肥料を使い、除草剤は使わず手で草むしりをしているそうです。ディレンさんいわく、「なるべく自然に近い環境でコーヒー栽培を行っている。」とのこと。化学肥料を使わない自然農法に取り組み、そのおかげでとても土壌が豊かな印象です。丁寧に管理された農園でコーヒーは活き活きと育っています。

自然農法を行うPantan Musara農園

その後ディレンさんのご自宅に招待いただき、農園で収穫したコーヒーをふるまってくれました。素晴らしい風味とマンデリンらしいボディ感…気づいたら「おいしい」と、声が出ていました。自分たちで栽培したコーヒーを自分たちで飲んでいるとのこと。コーヒーの産地ならではの贅沢なコーヒー時間を楽しませていただきました。

ディレンさんに、「これからの目標は?」と尋ねると、「当たり前のことかもしれませんが、教えてもらったことを忠実に、地道にいいものを着実に作っていきたいです。これからもただただ美味しいコーヒーを作っていきたい。」と、彼のひたむきで真撃な姿勢が深く印象に残っています。そのポリシーがあったからこそ、今回彼のコーヒーが評価されたのだと確信した瞬間でした。

次回のCOEにも出品するとのことで、今後の活躍も楽しみです。

今しか味わえない、最高の珈琲体験をどうぞお楽しみください。

このコーヒーについて

農園主 Dilen Ali Gogo氏

農園名 Pantan Musara(パンタンムサラ)
農園主 Dilen Ali Gogo(ディレン・アリ・ゴゴ)
エリア Pantan Musara, Aceh, Indonesia(パンタンムサラ、アチェ、インドネシア)
標高 1,650
規模 1.5ヘクタール

スコア 89.28
ランク 1

精選方法 ハニー
品種 Ateng(アテン)、Bourbon(ブルボン)、 P88

公式WEBサイトにて詳細がご覧いただけます。
Cup Of Excellence インドネシア 2021

 

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