コーヒーの抽出による違い
コーヒーの味はなぜ変わる?
コーヒーを淹れる方法はさまざまで、いろいろな抽出器具があります。
deepressoでは「How to 抽出」として抽出器具の特徴やそのレシピなどをご紹介してきましたが、そもそも器具による違いはどうしてうまれるのか…
「ウェーブドリッパー」 「エアロプレス」2つの抽出器具の違いを通して、その理由をご紹介します。
お好みの器具を見つける参考になれば幸いです。
目次 ・抽出はどのように進むのか ・酸味成分と苦味成分 ・抽出方法による違い 「ウェーブドリッパー」 「エアロプレス」 ・味の違い
抽出はどのように進むのか
まず、コーヒーの成分がどのように液体へと移っていくかをご説明します。
コーヒーの成分は「粉中心から外側へ移動」→「お湯へ溶け込む」→「ろ過」→「コーヒー完成」という順番で移り変わっていきます。
挽いたコーヒーの粉とお湯(水)が触れることで抽出が始まり、水分が内部へと浸透していきます。いわゆる「蒸らし」と呼ばれる段階です。お湯が浸透することでコーヒーの粉の中にいた成分が外側へと移動していきます。表面に達すると、成分がお湯へと溶け込み、それが最終的にろ過されたものがコーヒーとなります。
新鮮なコーヒーは蒸らしの時によく膨らむと言われるのは、粉の中の成分と一緒にガスも外に移動するためです。
酸味成分と苦味成分
コーヒーの「酸味成分」と「苦味成分」には、以下のような特徴があります。
「酸味成分」
移動は速く、短時間でお湯へ移動しきります。「お湯の温度」「お湯との接触時間」「挽き方」の影響をあまり受けません。
「苦味成分」
移動は速いものから遅いものまで非常にさまざまで、遅いものほど渋みをともなった重い口当たりになります。移動の遅い成分ほど、「お湯の温度」「お湯との接触時間」「挽き方」の影響を受けやすい傾向にあります。
抽出方法による違い
コーヒーの抽出方法は「透過式(とうかしき)」「浸漬式(しんししき)」の2つに分けられます。
「透過式(とうかしき)」
コーヒーの粉にお湯を通す事で抽出する方法です。ハンドドリップ、エスプレッソなどが透過式にあたります。
「浸漬式(しんししき)」
コーヒーの粉をお湯(水)に漬け込むことによって、コーヒーの成分を溶け出させる方法のことを言います。フレンチプレスやサイフォンなどが浸漬式にあたります。
上記を踏まえて、今回比較する器具の特徴を見てみましょう。
ウェーブドリッパー
「メイン:透過式 + サブ:浸漬式」
ウェーブドリッパーはお湯が通り抜けることで、ドリップされていくので「透過式」にあたります。しかし、ウェーブドリッパーの特徴である、底面が平らで穴が小さいことにより湯だまりがおきるので、「浸漬式」の様にお湯との接触時間をある程度一定にしてくれます。
そのためハンドドリップで難しいといわれている、お湯を注ぐ速度や湯量に多少のブレがあっても、大きく味がブレることを抑えてくれます。
エアロプレス
「メイン:浸漬式 + サブ:透過式」
粉と湯を接触させ一定の時間蒸らし、そして、圧力をかけ抽出していきます。そのため「浸漬式(しんししき)」とエスプレッソの様に圧力でフィルターを通過させる「透過式(とうかしき)」の両方の要素を取り入れた抽出を行なっています。
圧力をかけ、短時間で抽出することで、余分な苦味成分が出る前に抽出することができます。
味の違い
今回は「エルサルバドル エルトパシオ農園」のコーヒーを使い、2つの抽出方法の飲み比べを行いました。
「ウェーブドリッパー」
このコーヒーの味わいの特徴である、カシスのような酸味を感じながらも、ビターチョコのような甘さと全体的にふくみのある丸い印象とやわらかさを感じます。そして全体のバランスが良く抽出されている印象があります。
「エアロプレス」
余分な苦味などが出ておらず透明感のあるシャープな果実味を感じます。ウェーブドリッパーと比べるとコクは抑えられていて、カカオのような甘みがスッキリと楽しめました。
「結果」
どちらも香りはしっかり出ている印象ですが、味わいに違いを感じます。
「ウェーブドリッパー」→飲みやすさのあるバランスタイプの味わい。
「エアロプレス」→豆の持ち味をダイレクトに引き出し、クリアな味わい。
最後に…飲み比べてみて
ウェーブドリッパーはブレンドコーヒーなど、味わいに飲みやすさを求める方に。エアロプレスは豆の持っている味わいをダイレクトに感じることができるためシングルオリジン(ストレートコーヒー)におすすめと感じます。それぞれの器具にそれぞれの良さがありますので、お好みに合わせてお試しください。
コーヒーライフをより深く、より楽しくなる参考になれば幸いです。