How to 抽出
Vol.2:エアロプレスで楽しむ
コーヒーを抽出する器具の中でも比較的新しい器具「エアロプレス」
いくつかのポイントをおさえる事で、コーヒーの種類や、その時の気分、好みの味わい…等に合わせて様々な味わいのコーヒーを淹れられます。使い方をマスターすればきっと、コーヒーを楽しむ上で心強いツールとなってくれるでしょう!
今回の”How to 抽出”では「エアロプレス」についてご紹介いたします。
目次 ・エアロプレスとは ・エアロプレスの各パーツについて ・基本的な淹れ方 今回使用する器具 淹れ方:スタンダード式 片付け方
エアロプレスとは

「エアロプレス」は2000年代に入ってから、A E R O B I E(エアロビー)社というアメリカのスポーツ玩具メーカーが開発した抽出器具です。
空気の力を利用して圧力をかけ、コーヒーの抽出を行います。ハンドドリップなどと比べると、あまり難しい抽出技術も必要なく、豆量や湯量、抽出時間の調節等で様々な味わいが楽しめます。
最近、小型で携帯性に優れた「エアロプレスGO」も登場し、アウトドアツールとしても注目されています。
コーヒーの種類によっても変わりますがエアロプレスで抽出されたコーヒーは、酸味と甘味のバランスがよく、しっかりとした味わいと柔らかな口当たりが特徴です。
エアロプレスの各パーツについて

エアロプレスを購入すると、基本のセットとして7つのパーツが付属されています。

エアロプレスを構成する筒の、内筒部分。プランジャーをゆっくりと押し圧力をかけていくため、空気が抜けないように先端にゴムパッキンがついています。

エアロプレスを構成する筒の、外筒部分。チャンバーにコーヒーの粉と湯を入れます。

エアロプレスのフィルターを設置する部分。ここに専用のフィルターをセットします。

エアロプレス専用のペーパーフィルター。約300枚ほど付属されています。

コーヒーの粉を入れる際に使用します。

コーヒー豆を量る時に使用します。

チャンバーに入れた、コーヒーの粉とお湯を攪拌する際に使用します。
基本的な淹れ方

今回コーヒーの淹れ方は、社内で「エアロプレス好き!」として知られる、櫻井コーヒーマイスターが紹介いたします。
櫻井コーヒーマイスターより

エアロプレスは比較的新しい器具とあって、あまり馴染みがないかも知れません。とても自由度が高い器具でもあるので、使う人によってさまざまな抽出方法やレシピがあります。お湯の量や、浸透させる時間など…エアロプレスは少しの調整で味わいに変化が生まれます。
今回は「スタンダード式」と言って、エアロプレスの基本となる淹れ方をご紹介します。1g単位、湯温を数℃単位で調整を行なったレシピをご紹介していますが、私自身その日の気分やシーンで少しずつレシピを変えて楽しんでいます。この記事が自分好みのコーヒーを淹れるヒントになれば嬉しいです。
今回使用する器具

・エアロプレス
・ケトル:HARIO V60 ドリップケトル・ヴォーノ
・サーバー
(上から力を加えるので、割れにくいものがおすすめ)
・スケール:HARIO V60 ドリップスケール
・温度計
淹れ方:スタンダード式

エアロプレスを最初からサーバーにセットした状態で行う抽出方法です。
材料(カップ約1杯分)
・豆 19g(挽目:やや細挽き)
・使用湯量 240cc(目安湯温:89度)
コーヒー豆は「中挽き」と言われる挽目より、少し細かく挽きます。
ペーパードリップで淹れている方は、普段の挽目より少し細かめをイメージしてみてください。
事前準備

1.器具の温め、ペーパーリンス
チャンバー(外筒)とサーバーに湯を入れて温めておきます。一緒にカップも温めておきましょう。
キャップにペーパーフィルターをセットし、お湯をかけます。「ペーパーリンス(※)」と言われる工程です。その間にコーヒー豆や、お湯の準備などを行うとスムーズです。
※ペーパーリンスは、実は淹れる人によって是非が分かれている工程です。ペーパーを事前に濡らしておくことで「抽出効率を高められる」「紙臭が取れる」といった肯定的な意見や、逆に「ペーパーが濡れていることで、コーヒーの粉がペーパーに触れてしまった時点で抽出が始まってしまうので良くない」…など、実に様々な意見があります。今回は抽出効率を高めることを主な目的として取り入れています。

2.チャンバーに、コーヒーの粉を入れる
コーヒーの粉を入れやすいように、チャンバー(外筒)の上にファンネル(じょうご)をセットしコーヒーの粉を入れます。軽く左右に振ってチャンバー内の粉を平らにします。
抽出:ドリップと蒸らし

1.湯を入れる
スケールの上に移し、100gのお湯が粉全体にまんべんなくかかるように、ゆっくりと入れます。この時点でお湯がぽたぽたと落ち、抽出が少しずつ始まります。

2.攪拌と蒸らし
お湯を淹れ終わったら、しっかりとお湯と粉が接触するよう、パドル(撹拌機)を使って3~5回ほど攪拌します。その後、30秒蒸らします。

3.2回目の湯を淹れる
今度は140gの湯を淹れます。中心からゆっくりと規定量まで注ぎます。1〜3までで、およそ1分間が目安です。
真上からプレス

プランジャー(内筒)をチャンバー(外筒)に真っ直ぐになるようにセットし、30秒くらいかけてゆっくりとプランジャーを押し込みます。滑らないよう注意しながら、腕の重さを使い、真上から一定の圧力をかけていきます。
この時、力いっぱい押してしまうと、サーバーを割ってしまったり、手を痛めてしまう原因になるので気を付けて下さい。最後まで押し切らず、チャンバー(外筒)②のメモリあたりまでプランジャーを押し込んだら止めます。「プシュッ」と空気が抜けるような音がする直前で止めるのが目安です。
できあがり!

できあがりです!エアロプレスを使い抽出することで、雑味の少ないクリアな印象を引き出し、コーヒー豆のもつ本来の甘みや酸をくっきりと感じていただけると思います。
片付け方

1.残っている空気を抜く
最後まで押し切り、残っている空気を抜きます。
2.コーヒーカスを出す
キャップをとりプランジャー(内筒)を押し進めコーヒーカスを押し出します。あとは各パーツを洗って乾かしたら完了です。
最後に…櫻井コーヒーマイスターより

エアロプレスは付属品としてペーパーフィルターがついていますが、専用のステンレスフィルターなども販売されています。フィルターを変えることにより、コーヒーの味わいも変わりますので、お好みに合わせて使い分けてみてください。
エスプレッソのように濃く抽出したコーヒーを、そのままアイスにかけてアフォガードの様に楽しんだり、炭酸水で割ってみるのも面白いですよ。
エアロプレスは抽出器具の中でも本当に自由度が高く、少し調整するだけで、コーヒーの味わいに大きな違いをもたらします。コーヒー好きの皆様へ、またこれからコーヒーが好きになる方へ、参考になれば嬉しいです。
櫻井コーヒーマイスターありがとうございました。
deepressoではこれからも色々な器具の使い方や、コーヒーを楽しむ情報を発信していきます。