コーヒー豆:産地編
「ブラジル」

 

世界最大のコーヒー大国

ブラジルは言わずと知れたコーヒー豆の一大生産地。
栽培面積と生産量で共に世界第1位を誇り、生産のみならず消費量でもアメリカに次ぐ世界第2位となっています。

今回のdeepressoでは、そんなブラジル コーヒーの特徴や歴史、精選方法などをご紹介いたします。

目次

 ■ブラジルコーヒーの特徴

 ■コーヒー栽培の長い歴史


 ■土地の特徴と機械化
 
 ■ブラジルの精選方法

 ■最後に…

  個性を見せるブラジルのコーヒー

 

ブラジルコーヒーの特徴

ブラジルは「コーヒーベルト」と呼ばれるコーヒー栽培に適した一帯に属しています。
標高1,000m以下の低地栽培の割合が多いため、豆は小ぶりで肉薄な傾向。生産されるコーヒー豆は、約7割がアラビカ種で、残りの約3割はカネフォラ(ロブスタ)種です。ブラジルの主要産地は地球温暖化の影響などもあり、年々変化しています。近年ではサンパウロ州・ミナスジェライス州・バイア州などで生産が活発です。またスペシャルティコーヒーの台頭に伴い、品質評価も見直され、全体的に豆の品質が向上しています。

 

コーヒー栽培の長い歴史

もともとコーヒーの木が自生していなかったブラジルに初めてコーヒーがやってきたのは、今からおよそ300年前の1727年。エチオピア原産のコーヒーがヨーロッパ諸国の政治・経済を背景にブラジルに移入してきたのが始まりと言われています。その後も徐々に生産量は増えていき、1850年には生産量が世界一となりました。

1800年代前半は奴隷による強制労働によってコーヒーが生産されていましたが、1888年に奴隷制度が廃止になってからはヨーロッパなどからの移民が生産の主力となりました。そして、コーヒーはブラジル全土の産業の礎となり、ついにはブラジルのコーヒー供給量はコーヒーの国際相場にも影響を及ぼすほどになりました。

またブラジルは日本とも関わりが深く、今から約100年前。
大きな夢を持ち、ブラジルへと海を渡った日本人移民達がいました。苦労と努力が実り、現在でもその子孫達が経営するコーヒー農園があります。

 

土地の特徴と機械化

ブラジルの勾配が少なく平らな土地や、なだらかな斜面が続くとても広大な土地は、コーヒー栽培、収穫方法にも大きな特徴を生み出します。
広大な農園の収穫は効率を上げるために機械化が進み、コーヒーの木と木の間に機械が入れるように整備されています。機械を使うことで、まだ熟しきれていない緑色の実も落としてしまうデメリットもありますが、その広大さから機械に頼らないと収穫しきれないという現実があります。

また、機械の導入が難しい山間部や小規模な農園では、ピッカーと呼ばれる摘み手により手で収穫が行われており、コーヒーが栽培されている地域の特性により使い分けられています。

広大なコーヒー農園の風景。通路も広く整備されています。

グラスファイバーの棒がついた2つの軸が回転することで、木を揺らし枝からコーヒーチェリーを振り落とします。
コーヒーの木をまたいで進んでいき、落とされたコーヒーチェリーは、機械の下に集められます。そこからさらに、並走しているトラックに集めています。

  

ブラジルの精選方法

収穫したコーヒーチェリー(コーヒーの実)から、コーヒーの生豆になるまでの工程を、精選(せいせん)と言います。精選の工程は、主にナチュラル(非水洗式)とウォッシュド(水洗式)に分けられており、その二つの内ブラジルでは「ナチュラル」が主流です。

ナチュラル製法は収穫したコーヒーチェリーを選別し、果実のまま乾燥場で天日乾燥させ(機械乾燥を用いている農園もあります)乾燥した果実を脱殻して、コーヒー生豆を取り出します。ウォッシュドと比べると大量の水を使用しないので環境に優しく、またコーヒーの果肉をつけたまま乾燥させるため独特の甘みや風味が生まれるのが特徴です。
ブラジルを始め、エチオピアやイエメンなどで用いられています。

収穫したてのコーヒーチェリー(選別前)
乾燥して赤茶色になったコーヒーチェリー

  

最後に・・・
個性を見せるブラジル コーヒー

中立的でバランスのとれた味わいが特徴とされるブラジルのコーヒーですが、近年は新規性の高いフレーバーを求めた新たな取り組みも行われています。

最後に、個性を見せる特別なブラジルのコーヒーとして「ブラジル ストロベリー」をご紹介します。

<特別なコーヒーのみを厳選>

コーヒーの樹に実るコーヒーチェリー

ブラジル国内最大級の生産地域「南ミナス」の1000以上ある農家から真っ赤な完熟のコーヒーチェリーのみを集め、精製プロセスの中で良好な発酵が程よく進んだコーヒー豆のみを選別します。収穫時に樹上で完熟したり、精選の過程でほどよい発酵プロセスが進むと、甘いフルーツのようなフレーバーを感じられるものが見られます。

更にその中から現地のカップテスターが、特にベリーのような果実感を感じるコーヒーだけ厳選し、最新式の精選設備でストロベリーのようなフレーバーが感じられるよう仕上げられたコーヒーです。

<精製方法>

乾燥場で天日干しにされているコーヒーチェリー

ブラジルで主流となっている「ナチュラル製法」で精製されています。
収穫後の真っ赤なコーヒーチェリーを太陽の下で、そのまま天日干しに。徐々に水分が抜けていき、真っ赤なコーヒーチェリーは少しずつ色が黒く変わっていきます。チェリーの赤い外皮と果肉部分の、糖質や甘酸っぱい果実感のフレーバーが、乾燥とともにコーヒーの種子(生豆)に浸透していくことで、まるでストロベリーのような風味を感じるコーヒーになっていきます。

■ブラジル ストロベリー
https://deepresso.yamato-ya.jp/2021/11/2121/

コーヒー大国ブラジルでも、スペシャルティコーヒーの世界的なブームに伴い、「ブラジル ストロベリー」のような特別なフレーバーを感じるコーヒーや、新たなコーヒーの精製方法の追求など…コーヒー作りにも多様性が生まれてきています。ブラジル国内の消費量も増え続けており、これからブラジルのコーヒーの需要はますます高まるかもしれません。


今回のdeepressoではコーヒーの一大生産地ブラジルについてご紹介しました。
まだまだ語り尽くせないブラジルの魅力も含め、今後も様々なコーヒーの生産国にスポットを当て、ご紹介していきます。

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